業績の向上やコロナ禍の対策などのためにIT導入が必要となる時、なかなか踏み出せず、どのようにIT導入を進めるべきか迷います。昨今、国は中小企業のIT導入に力を入れてきています。中小企業のIT導入に関しての支援をご紹介いたします。
IT化導入の目的
IT導入に関して主な目的は大きく3つあります。コロナ禍のためのリモートワーク、業績向上のための導入、そして、販売促進のためのECサイト活用です。
コロナ禍のためリモートワークの導入
コロナ禍の中、通勤しなくても在宅でリモートワークが出来る環境、または、遠方の方とリモートでの会議が出来る環境を整える必要になってきました。
業務の効率化
業務効率化のツールも多くある中、最近、注目を集めているのがエクセルでの単純な作業をAIで処理を行うことが出来るRPAツールというものがあります。給料計算や勤怠管理、売上管理などの事務作業を自動で行うため、人為的なミスや確認作業もなくなり、業務の効率化、そして、本来の業務に集中することができ、残業もなくなり労働環境も改善されたという事例もあります。事業の課題にマッチしたIT化導入によって業績もアップします。
ビジネスの販売促進
ECサイトの導入などによって商圏が大きく広がり、ビジネスチャンスが広がります。
例えば、大分県の離島でひじきを販売している会社が2日しか収穫できないという希少性のあるひじきをECサイトで販売し、話題になり、「第1回日本ギフト大賞」を受賞しました。
ほかに、京都の和装製品の会社は日本での人口減少のため、日本以外での商圏を求め、アメリカのアマゾンに出店しイギリス、ドイツにも販売を開始しています。海外での販売は試行錯誤しながら、コロナ禍のなかでも確実に商圏を広げています。
そして、ECサイトの導入に関して、専門家のサポートやサイトの作り方や写真の撮影の仕方などの販売方法の支援を受けることも可能です。
IT化導入のポイント
それでは、IT導入の際の重要なポイントをご紹介いたします。
まずは、支援機関を活用する
多くの中小規模企業では、ITについての知識もスキルが詳しい方がいなかったり、知り合いもいないのが実情です。まずは、地域の商工会・商工会議所などに相談し、支援機関を通じて外部の専門人材の力を借りることをおすすめします。
とくにIT導入については専門知識が必要で、現状に合った導入を進める必要があります。多岐にわたるソフトやシステムもあるため、専門家のアドバイスを受けつつ、費用対効果を考えて、適切なIT導入を進めましょう
① トップダウンにおけるトップの意志
従業員やスタッフは慣れない業務を覚える必要があります。乗り切るためにもトップがIT化導入における今後の明確なビジョンを持ち、強いリーダーシップで導入を進めていくことが必要です。
② 周囲の理解を得る
IT化導入に対して苦手意識がある方も多くいらっしゃることもあります。何故、新たな業務を身につけなければならないのかの理解が必要です。
IT化導入のプロジェクトチームを作り、または、主となるメンバーに理解を得る必要があります。
③ 段階的に進める
IT導入によって、業務に支障がないように段階的に慣れていく取り組みが必要となります。担当者が取り組みやすい業務から慣れて行くように導入を考えてみてください。
④ 現場でのフィードバックを得ながら進める
現場での変更や導入に関しての工夫も必要になります。現場のフィードバックを得ながら、試行錯誤でIT導入を進めているのが現状です。
IT化導入支援事業
国の支援や商工会議所などでIT化導入支援事業があります。
webサイト制作やEC活用など主な4つの補助事業をご紹介いたします。
小規模事業者持続化補助金
ホームページの制作を含む商品の販路拡大や生産性向上の取り組みに関する補助事業やコロナに対する補助事業でお勧めなのが小規模事業者持続化補助金です。小規模事業者持続化補助金は、日本商工会議所が提供している補助金制度です。
【 小規模事業者持続化補助金の対象者】
対象者 | ・基本的には数人から十数人規模の小規模事業者(営利団体) ・特別な要件を満たした特定非営利活動法人 |
条件 | 商工会、商工会議所のサポート を受けながら経営計画書、補助事業計画書を作成し、 審査を経て採択が決定されます |
お問合せ | お近くの商工会議所にお問い合わせください |
【 小規模事業者持続化補助金の内容】
【持続化補助金】 <一般型> | 【持続化補助金】 <低感染リスク型ビジネス枠> | |
内容 | ホームページの制作を含む商品 の販路拡大や生産性向上 に関する支援 | ポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、 ⽣産プロセスの導⼊等の取組、 及びその取組に資する感染防⽌対策への投資を⽀援 |
補助率 | 2/3 | 3/4 |
補助限度額 | 〜50万円 | 〜100万円 |
IT導入補助金
生産性の向上に役立つITツールの導入やコロナ禍のための遠隔地から業務を行うテレワークの環境整備や業務形態に関する補助事業でお勧めなのが、IT導入補助金です。
IT導入補助金は、中小企業の生産性向上の取り組みを支援する「中小企業生産性革命推進事業(ものづくり補助金・持続化補助金・IT導入補助金)」のうちのひとつで、生産性の向上に役立つITツールの導入経費の一部を補助します。ITツールとは、パッケージソフトの本体費用やクラウドサービスの導入・初期費用とそれに伴うオプション・サポートなども含まれます
IT導入補助金 | |
対象者 | 業種によって、資本金・従業員数の条件似合う中小企業・小規模事業者等 |
条件 | 交付申請後、認定を受ける |
内容 | IT導入補助金の申請枠は、 通常枠のA、B類型と 低感染リスク型ビジネス枠のC、D類型の合計4つのパターンがあります。 (A・B)生産性の向上に役立つITツールの導入経費の一部を補助します。 (C・D)遠隔地から業務を行うテレワークの環境整備や 業務形態の非対面化のためのツール |
補助率 | 30~450万円以下 |
補助限度額 | 1/2 |
お問合せ | IT導入支援事業事務局 URL:https://www.it-hojo.jp/ サービス等生産性向上IT導入支援事業 コールセンター 電話:0570-666-424 |
IT活用促進資金
IT化導入の資金の融資は日本政策金融公庫の融資制度のひとつIT活用促進資金です。日本政策金融公庫は実質的に国の金融機関なので、利子が比較的低いことなどから中小企業や小規模事業者によく利用されている金融機関です。国が中小企業のIT化を推進するために、IT関連の設備投資に必要な資金を融資する制度となっています。具体的には、販売促進、顧客管理、情報共有・連絡ツールや、情報の一元管理のためのクラウドシステムの導入に必要な費用などに関して融資を受けることができます。
【 小規模事業者持続化補助金の利用条件と資金の使い道】
①設備を取得するための設備資金、長期運転資金
利用条件 | (1)情報技術(IT)の普及に伴う事業環境の変化に対応するための情報化投資を行う方で、次のいずれかに当てはまる方 A. 情報技術(IT)を活用した効果的な企業内業務改善 および企業内の情報交換など業務の高度化を行う方 B. 他企業、消費者などとの間でネットワーク上の取引 および情報の受発信を行う方 C. 企業内業務の情報技術(IT)の水準を取引先など 企業外の情報技術(IT)の水準に合わせようとする方 D. 情報技術(IT)の活用により、 業務方法、業務内容などの経営革新を図ろうとする方 E. A~Dを組み合わせるなど、情報技術(IT)などを高度に活用する方 (2)テレワークの導入等を行う方 |
資金の使い道 | 次の設備を取得するための設備資金および長期運転資金 電子計算機(ソフトウェアを含みます。)(※) 周辺装置(電子計算機本体と組み合わせて使用するモデムなどの通信装置など) 端末装置(多機能情報端末など) 被制御設備:高度数値制御加工装置(CNC)、多軸産業用ロボット装置など 関連設備:LANケーブルやゲートウェイ装置など 関連建物・構築物(上記装置、設備の導入と併せてその取得に必要不可欠なもの |
②中小企業等経営強化法による支援業務
利用条件 | 中小企業等経営強化法に基づき認定を受けた情報処理支援機関 |
資金の使い道 | 中小企業等経営強化法に定める情報処理支援業務を行うために 必要な設備資金(ソフトウェア含む)および長期運転資金 |
③AI導入にするための設備資金、長期運転資金
利用条件 | AIを活用して生産性向上を図る方 (AIの導入に際して専門家の方の助言・指導を受けている方に限る |
資金の使い道 | AIを活用して生産性向上を図るために必要な設備資金 (土地にかかる資金を除く。)および長期運転資金 |
④特定高度情報通信技術活用システム導入計画の認定のための設備資金、長期運転資金
利用条件 | 特定高度情報通信技術活用システムの開発供給 および導入の促進に関する法律に基づく 特定高度情報通信技術活用システム開発供給計画の認定を受けた方 または特定高度情報通信技術活用システム導入計画の認定を受けた方 |
資金の使い道 | 認定開発供給計画または認定導入計画を実施するために 必要とする 設備資金(土地にかかる資金を除く。)および長期運転資金 |
【 小規模事業者持続化補助金の内容】
融資に関しては個人事業主や小規模事業者を対象とする国民生活事業と中小企業を対象とする中小企業事業に分かれています。
国民生活事業 | 中小企業事業 | |
対象者 | 個人事業主や小規模事業者 | 中小企業 |
補助限度額 | 限度額7,200万円 (うち運転資金4,800万円) |
限度額7億2,000万円 (うち運転資金2億5,000万円)、 代理貸付として 限度額1億2,000万円 |
利率 | 資金の使い道・信用リスク・融資期間など に応じて利率が適用されます |
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返済期間 | 設備資金の場合は20年以内(据置期間2年以内) 運転資金の場合は7年以内(据置期間2年以内) |
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お問合せ | 日本政策金融公庫 全国各店舗 URL:https://www.jfc.go.jp/n/branch/index.html 事業資金相談ダイヤル電話:0120-154-505 |
EC活用支援
販路拡大のためにEC活用で全国や海外での取引も可能になります。
EC活用にはノウハウが必要です。
そのためのサポートもやっぱり、欠かせません。
EC活用のサポートでお勧めなのがEC活用支援です。
中小機構のEC活用支援では、中小企業・小規模事業者の皆様がECを通じて、国内又は海外の販路が拡大できるよう、ECに関するアドバイスを実施しています。
【EC活用支援の対象者】
国内・海外の販路開拓を志向する中小企業・小規模事業者
【EC活用支援の内容】
ECの専門家が、EC出店前の準備やEC出店後の運用やマーケティング等の具体的な課題を解決するためのアドバイスを行います。
また、開催当日中にECサイトを開設できるワークショップ、ECにかかわる様々なサービスを提供しているEC支援事業者とのマッチングイベントを開催し、ECを活用した販路開拓を支援します。
1.EC活用支援アドバイス
中小企業・小規模事業者の皆様がECを通じて国内または海外の販路を拡大できるよう、ECに関するアドバイスを実施しています。東京の中小機構本部での面談のほか、東京近郊以外の企業の皆様にもアドバイスを受けていただけるように、中小機構の本部と地域本部を通話アプリでつないでアドバイスを行っています。また、メールでのアドバイスも実施しています。
2.ネットショップ出店プログラム
中小企業・小規模事業者の皆様が円滑にECサイト(ネットショップ)を開設できるようワークショップを実施し、ECの専門家が、ワークショップの中で出店ノウハウを提供し、ワークショップ開催中にECサイトを開設できるようサポートを行います。
3.マッチングイベント
国内、海外における、モール・マーケティング・物流・決済等のさまざまな分野のEC支援事業者とのマッチングの場を提供しています。
また、ECサイト(ネットショップ)への出店や写真・動画等のコンテンツ作成に関するワークショップ、マーケティング等に関する実践講座、ECよろず相談などを実施し、さまざまなステージの企業の課題解決を支援しています。
【EC活用支援のお問合せ】
独立行政法人中小企業基盤整備機構
販路支援部 販路支援課 EC活用支援担当
電話:03-5470-1681
FAX:03-5470-1588
E-mail:e-commerce@smrj.go.jp
URL:https://ec.smrj.go.jp/
まとめ
IT導入は今までのやり方を変えるため、いろいろ大変な面がありますが、多くの支援や補助事業があります。一人であれこれ考えるよりも支援機関に一度ご相談することでIT導入をよりスムーズに進められます。一度、ご相談ください。
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