DXを導入して営業の効率化に繋げられないだろうか…飲食業界や小売店でDXに成功するためにはどのような工夫を実施していけばいいのだろうか。 このようなお悩みを抱いている経営者の方に朗報になります。最近では、飲食業界でもDXの導入は積極的に行われているんですよ。 そこで、こちらの記事では飲食業界で実際にDX化が行われた成功例について、ご紹介していきます。
有限会社ゑびやさんが抱えていた課題
有限会社ゑびやさんは、三重県の伊勢神宮近くにある、老舗の飲食店(食堂)です。現在では食堂以外にも、お土産などの販売も実施しています。 有限会社ゑびやさんでは、最新のIoT技術を導入する前までは、スタッフ達が長年の仕事の経験などに基づいた感覚でお客さんの動向などを予測し、仕入れ作業などを行なっていました。 しかし、勘はあくまで経験則に基づく直感に過ぎないため、分析とは違います。 そのため、以下のような問題が発生していました。
・勘がはずれた時に赤字になってしまったり、不良在庫を抱えてしまう
・そもそもカンで分析を行なっているため、当たり外れによって売上が左右され、営業が安定しない
このような問題を解決するためにも、現在の社長に代替わりした2017年から、多くのIT施策を導入したお店のDX化を推進し始めました。
勘からデータに基づいた、最新技術を活用した分析方法に変更
そこで、勘による分析方法を置き換えるために、以下の2つのデータを基にして、来客数の分析を行なう独自の分析用ソフトウェアを導入しました。
・観光予報プラットフォームに集積している、 宿泊者数などのデータ
・食べログなど、レストランの予約サイトの 閲覧者数
ビッグデータとは、簡単に言えば普段の仕事やサイトなどから集められる膨大なデータを指します。コンビニエンスストアなどでは、これらを有効活用して商品の売れ行きなどを実際に行っています。 しかし、中小企業でここまで綿密な分析はあまり行われていないため、非常にレアな例と言えるでしょう。 これらのビッグデータを元にして、その日の来客数を機械的に予測できるようにしました。ビッグデータを活用することで、勘と比べて精度の向上が見込めます。 また、機械学習機能も搭載されているため、分析結果をもとにして学習を行い、更なる精度向上に繋げられます。 このように、様々なデータを上手に活用し、最新のIT技術に落とし込むことでデータによる理論に基づいた来客者数の分析が可能となりました。
ビッグデータの活用によって得られた成果
有限会社ゑびやさんの分析アルゴリズムのレベルは非常に高く、以下のような仕組みになっています。 1.120ものデータの中から重要度の高い要素をもとにして分析を行う 2.その他のデータも含めて、分析結果にさらに絞り込みをかけていく 3.機械学習でアルゴリズムの精度をUPさせていく このアルゴリズムを導入した結果、以下のような成果を挙げることに成功しました。
・廃棄する食事の量をおよそ半分まで削減
・必要な労働者数が分析可能になり、研修の機会を設けられるよつに(労働者のパフォーマンス向上にリソースをさけるように)
・事前準備が可能になり、業務の効率向上
このように、機械学習とビッグデータの活用によって様々な恩恵を得られるようになりました。
DX化の功績が認められ、賞の受賞も
このような高精度なアルゴリズムが評価されて、観光予報プラットフォーム活用コンテストにて有限会社ゑびやさんは「大賞」を受賞しました。
DX化成功の背景は新社長の行動にあり
このようなDX化が成功した背景は、2017年に社長に就任した小田島社長の積極的な行動があります。 小田島社長は社長就任後、「伊勢 ゑびや」のブランドについて、一から見直しました。古き良き歴史を殺さないようにしつつも、最新のIT技術を取り入れていくために、率先した行動をおこなったのです。 このように、伝統を活かした上で更なる利益の追求や歴史を活かしていくために、研究を重ねながらITの最新技術の導入を進めて行く姿勢から企業のDX化は大成功を遂げたといえるでしょう。 DX化において、上層部の意識および率先した行動が非常に重要であると示している良い例です。
まとめ
・有限会社ゑびやさんは、ビッグデータと機械学習を活用した分析手法を導入してDX化を実施した
・結果としてはコストの削減やスタッフの能力向上の機会を設けられるようになるなど、大きな成果を挙げた
・優秀なアルゴリズムが評価され、観光予報プラットフォーム活用コンテストにおいて、大賞を受賞した
このように、小売業や飲食店でもDX化の推進は盛んに進められています。売上低下などのお悩みを抱えている企業の方や、経営者の皆さまは、これを機に最新のIT技術の導入を考えてみてはいかがでしょうか?