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経営課題の改善

中小企業の人材不足や採用難を解消する方法

中小企業を経営されている社長の皆さんの中には、人材不足や採用難で問題や課題を抱えているという方が多いのではないでしょうか。近年、人材不足や採用難を今後の不安要素や課題に挙げる中小企業が増加しています。どうすればその問題や課題を解決することができるのか、具体的な解決策をご紹介したいと思います。

人材不足の現状

人材不足は、規模が小さい企業ほど深刻な問題となっています。人材不足な中小企業は求人募集をしても希望者数は大きく下回っていて、人材は大企業に流れている状況です。

人材を大きく2つに分けると、以下の2つになります。
1. 中核人材…高い専門性のあるスキルを持つ、中心的な役割を担う人材
2. 労働人材…中核人材の指示により仕事をする人材

人材の中でも特に、労働人材が不足しています。

人材不足が進むと、以下のような影響があります。
1. 時間や指導する人材の不足により、従業員(特に若手)が育たない
2. 生産性の減少や利益の損失
3. 残業時間の増加
4. 納期の遅れ等、業務上の過失やトラブル
5. 外注の増加等による利益への悪影響

多様な働き方や転職が一般的な現代社会では、従業員はよい環境を求めて離職します。離職者が多ければ残った従業員の負担が増し、更なる離職者を生むことにつながります。

人材が不足している業種

正社員の人材不足に悩んでいる業種は、「情報サービス」「旅館やホテル等の宿泊業」「メンテナンスや警備、検査業」「農林水産事業」「運輸・倉庫」「飲食店」などが挙げられます。
非正規雇用の人材不足は、主に小売業、サービス業に多く、「飲食店」「飲食料品小売店」「娯楽サービス業」「宿泊業」「人材派遣等」に目立っています。コロナ禍でもある現在は、「看護」「保育」「介護」など社会保障関連の業種での人材不足も問題になっています。

中小企業が人材不足に陥る理由

企業にとって、人材不足は深刻な問題です。経営を続けていく上で、必ず解決をしなければならない問題と言えます。解決できなければ従業員の過労につながったり、経営難に直面したりする可能性が高くなることは必至です。なぜ中小企業において人材不足が深刻化しているのでしょうか。主な原因は、「少子高齢化の影響」「待遇面の問題」の2つが考えられます。

少子高齢化の影響

少子高齢化が進む現代では単純に若い人の人数が減少しているので、その分優秀な人材の確保が難しくなっています。生き方や働き方が多様化している時代ですので、労働人口自体の減少も見られています。企業イメージや仕事の内容、社員の働く環境や体制に魅力が感じられなければ、求人希望も増えません。そして、少子高齢化の影響は今後更に進行していく可能性が高いです。

待遇面の問題

就職希望者が求人情報を見た時に、待遇面に不安な応訴があれば応募を躊躇します。求職者に限らず、従業員も働く環境や仕事内容に魅力がなければ退職して他の企業に転職してしまいます。

給料・残業時間・手当・福利厚生等、働く人にとって安心感のあるものかどうか、見直してみましょう。また、優秀な人材ほど大企業や外資系企業に流れてしまう傾向があります。大企業や外資系企業と肩を並べることはできなくても、工夫次第で魅力ある企業作りは可能です。

会社の経営が第一ですが、可能な範囲で働く人の身になり、安心して働ける環境作りに努めましょう。

人材不足におけるリスク

人材不足に陥ると、企業経営に与える悪影響は計り知れません。転職が一般化した現在、人材はより良い環境があれば比較的簡単に離職していきます。組織に離職者が出ると、残った人材の業務負担が増すでしょう。採用難が続く昨今において、人材確保は簡単ではありません。従業員の負担が大きくなるほど、残った人材も辞めてしまう可能性も出てくるのです。具体的には、以下のようなリスクが考えられます。

倒産

当然ですが、ギリギリの人数で仕事に当たれば一人ひとりの負担が増え、仕事の進行や処理に限界が生じます。企業の発展や成長につながる新規事業の立ち上げは困難になるばかりか、事業を縮小せざるを得ない状況になることもあります。その影響が利益に直結し、倒産につながる恐れがあります。

長時間労働

人材不足により少ない人数で業務を行っていれば、仕事の遅れにつながり従業員が残業を強いられ長時間労働にならざるを得ません。その状況が続けば従業員の過労につながり、離職や最悪の場合過労死などの大きな問題に発展する可能性もあります。

仕事の非効率化

従業員一人ひとりの負担が増えれば、従業員の仕事に対するモチベーションが下がり、仕事の効率が悪くなります。仕事をルーティンでこなすのに精一杯になり、現状維持や衰退につながってしまうことも考えられます。更には疲労からミスが起こりやすくなり、大きなトラブルに発展する危険性も増すことで仕事の非効率化が進みます。

優秀な人材の確保が難しい

優秀な人材ほど大企業や外資系企業に流れてしまうということは先ほど述べました。採用した人材に能力を発揮してもらうことで業務はスムーズに進みますが、能力のない従業員を採用すると育てるのに時間がかかり、スムーズに業務を進めることは困難です。

どんな人材にももちろん人件費は発生します。しかも、なかなか業務に慣れずに早期離職してしまう事態になれば、また新規採用→育成の繰り返しです。優秀な人材の確保ができなければいつまでも、その悪循環が続きます。

人材不足を解消する対策

一体どうすれば中小企業にとっての人材不足や採用難を解消できるのでしょうか。対策は大きく分けると、「人材の確保」と「生産性の向上」の2つが代表的です。人材の確保に向けては職場環境の改善や福利厚生の充実、人材派遣やBPOサービスの活用などがあります。生産性の向上に関しては、テレワークやビジネスチャットの導入等ITの活用により、従業員一人ひとりの濃色開発を視野に入れた取り組みなどがあります。
一つひとつ、具体的に解説していきます。

職場環境や労働条件の改善

多くの中小企業が人材確保のためにまず取り掛かるのは、職場環境や労働条件の改善です。職場環境の改善に関しては、従業員のキャリアップのための研修制度の充実・人事評価委制度の見直し・業務や人間関係の管理・安全や健康の管理等の取り組みがあります。

労働条件の改善は前項で述べたように、給料や手当、処遇等の改善です。労働条件を改善することで従業員が働きやすい職場を作り、離職率の低下、求職者からの応募増加を図ります。

従業員の育成

限られた人材や人員で業務を行う中で、現存の従業員で業務を遂行するために従業員のスキルアップや兼任化も対策の一つです。マニュアルの作成や整備・従業員のスキルをリスト化するなどして現状を把握し、従業員のスキルアップを目指しましょう。一人ひとりのスキルが上がれば企業全体の生産性の向上や発展につながり、従業員の意欲の向上や仕事の充実も期待できます。

多様な人材確保

前述した少子高齢化の影響を解決する策として、出産や育児、介護等と両立して働くことを望む女性やシニア層、障がい者や外国人など多様な人材の活用があります。労働力として採用していなかったり業務を限定していなかったりした業種に、女性やシニア層を積極的に採用することで、労働人口の減少を抑える効果があります。採用に当たっては、各人材のスキル・特徴・希望する働き方に応じて雇用できる体制を整備しましょう。ワークライフバランスの充実も重要課題です。

その他、時間外労働の削減・各種休暇の推進・柔軟な勤務時間等、働きやすい体制作りに取り組むことも求められます。更に今までは男性や若手の業務とされていた仕事を女性やシニア層に担当してもらう、正社員が行っていた業務を複数のパート職員に振り分けるなどの対応も検討しましょう。

業務プロセスの見直し

全社・部門・従業員単位など様々な形でプロセスの見直しを行います。一般的には、部門別に見直しをするケースが多くあります。

業務プロセスの見直しは、生産性の向上につながります。業務の標準化を図る・不要な業務や重複している業務があれば見直しや削減を行なう・業務の簡素化や可視化等が該当します。業務プロセスの見直しをすることで、利益の向上や多用な人材の活用の推進にも効果的です。

福利厚生の充実

労働者にとっては大切な福利厚生の充実度が上がれば、離職防止につながったり、求職者に選ばれる決め手になったりすることが期待できます。具体的には育児休暇など休暇の充実、社宅や家賃補助制度等、従業員の経済的な援助は従業員にとって非常に喜ばれます。

その他にも、社内で仕事以外に充実した時間を過ごせるサークルやカフェの設置等、企業独自のアイデアを取り入れて工夫することも有効です。充実した福利厚生が実現できれば企業のイメージアップが働き、人材確保につながります。

人材派遣サービスの利用

人材派遣サービスの活用も、有効な対策のひとつです。人件費を抑えながら、人材確保につなげることができます。人材派遣会社の担当者の仲介で、必要なスキルを持った人材を確保しやすく、採用に向けて効率よく進めることができます。

BPOサービスの利用

BPOとはビジネスプロセス・アウトソーシングの略で、社内の業務を外部の専門家に委託するサービスです。特に経理や総務等のバックオフィス業務の代行を委託することで、従業員が各自の業務に集中しやすくなります。従業員の休職や離職、あるいはスキル不足に左右されることなく、企業の人材不足が解消する対策になります。

テレワークの導入

コロナ禍で導入する企業が増えましたが、仕事とプライベートの両立がしやすいテレワークの推進も人材不足対策につながります。テレワークの導入により遠方の人材を採用しやすくなり、人材不足解消につながります。企業にとっても交通費などのコストが削減できるメリットもあります。

ビジネスチャットの使用

業務の効率化が人材不足解消には重要となるので、Chatworkなどのビジネスチャットを活用することも有効です。通知機能があるので返信が速くなったり、オンライン通話ができたりなど作業の効率化が図れます。また、グループチャットを使えば情報共有も簡単です。テレワークの導入の際の連絡手段としても活用できます。

IT化を目指す

財務や会計業務・人事労務などをIT化によって効率化している企業が増えています。業務のIT化は人手不足の解消や生産性の向上に効果があります。受発注や顧客管理など自動化が可能な業務は自動化したりリモートワークに対応したりすることで、人材不足でも業績を伸ばすことは可能になります。

IT化の導入に当たっては経営者自らが先頭に立って導入の目的や目標を明確にしましょう。次にIT化専任の部署を設置したり担当者を配置したりすることで、導入に向けてスムーズに進めやすくなります。具体的なツールとしては業務パッケージソフト、クラウドサービスなどが挙げられます。

まとめ

中小企業にとって深刻な問題となっている人材不足や採用難に関して、様々な対策をご紹介しました。既に取り組みを行っている企業もあると思いますが、まずはできそうな対策から始めて、人材不足や採用難を解消し、従業員の働きやすい環境作りを進め、それが生産性の拡大や企業の発展につながるような取り組みを行いましょう。

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