経営者の皆さんは、社員と良好なコミュニケーションを取ることが課題の一つにあるでしょう。
いくら優秀な社長でも一人でできることは限界があるので、社員の力は不可欠です。
社員に力を発揮してもらい、組織力を高め、企業が成長発達をするためにも、社員とのコミュニケーションは大切です。
この記事では、経営者と社員が円滑コミュニケーションを行うための術について、詳しく解説します。
社長はコミュニケーションにおいて、ストレスを感じやすい立場
企業のトップである社長は、当然自分以外の全員が部下です。
様々なタイプの部下がおり、熱意を持って目の前の仕事にぶつかっていく人もいれば、あまりやる気が感じられない人もいます。
要領よくテキパキと仕事を片付ける人がいれば、何をするにも時間がかかる人もいるでしょう。
また、年代も様々で、自分よりも年上の部下がいることもあります。
社長が思うように部下が業務を遂行してくれればよいですが、社長の思いを汲んで動いてくれる部下ばかりではなく、しっかりと意思を伝え業務内容を指示することが重要で、時には叱咤激励が必要な場面もあるかもしれません。
部下以外にも、社長は企業の顔として社外でも多くの人とコミュニケーションを取る必要があります。
人とのコミュニケーションに日々疲れて、ストレスを抱えているという経営者は多いのではないでしょうか。
コミュニケーションとは、お互いの感情や意思、情報を送り合い、受け取り合うことです。つまり、意思の疎通です。
相手と意思の疎通が円滑に進んでいるとしたら、ストレスを感じることはないはずです。ストレスを感じているとしたら、コミュニケーションに問題があるということになるでしょう。
コミュニケーション以外にも、社長は様々な局面でストレスを感じることが多い立場です。せめて、社内でのコミュニケーションにおいてはストレスを感じず、業務の生産性や組織力を高め、企業を発展させていきましょう。
コミュニケーションの本質を考える
少し哲学的な考え方なので、このパートは読み飛ばしていただいて構いません。
コミュニケーションの定義をあらためて考えてみると、元々ラテン語の“communicare”が語源となっていて、「分かち合う」「共有する」といったような意味があります。
つまり、「言葉や動作などを通して意思を伝達し合い、お互いに通じ合うこと」ということです。
一対一の会話、会議やミーティングなど双方向の対話、プレゼンやスピーチといったような一方から伝える行為など形は違いますが、全てコミュニケーションです。
コミュニケーションがうまくいけば、よい変化が起こります。しかし、よい変化が起きていないとしたらコミュニケーションが成功しているとは言えません。相手との関係が悪化しているとしたら、明らかにコミュニケーションが失敗しているということになります。
コミュニケーションなくして仕事はできません。したがって、コミュニケーション能力が高い社長は仕事の成果を上げ、企業を発展させていく力があると言えます。成果を上げるために、他の人の協力や好意が不可欠だからです。
社内においては、社長から社員へ、または社員から社長へ、そして社員同士で、相談したり報告や連絡をしたり、何か業務の依頼をするときなど、業務の遂行における意思の疎通がコミュニケーションです。
コミュニケーションの本質を踏まえて、まずは相手を理解することと、自分自身もよく理解することがとても大切です。
相手の性格を理解する
意思の疎通がうまくできればコミュニケーションが成功すると言えますが、相手の意思や気持ちを理解することは非常に難しいことです。人間は90%以上の言動や行動を、無意識に行なっています。
何か気に障ることがあったとしても、相手は無意識に行なっているということは悪気がないので、腹を立てても仕方がないことです。しかし、だからと言って我慢ばかりしていてはコミュニケーションがうまくいかないだけではなく、ストレスは溜まる一方です。
無意識のうちに行なう行動や言動とは、つまりその人が持っている性格です。相手の性格を理解できれば、コミュニケーションをうまく取ることもできるはずです。しかし、人によって性格は違うので、相手の性格を見抜き、理解することも至難の業です。持って生まれた性格に加え、性別や育った環境、今置かれている立場などにより一人ひとりの性格が形成されていきます。そして、自分と正反対の性格であれば、ますます理解することは困難です。
ポイントとしては、客観性を持って相手を観察し、理解するように努力することです。
つまり、「まずは相手を理解すること」にあります。
様々な立ち位置から客観性を持って相手を見つめることで、少しずつ理解できるようになります。
理解できなくても、相手の無意識の言動や行動を、その人の性格だと受け止める余裕を持つことができれば、円滑なコミュニケーションにつながります。
自分の話し方、立ち振る舞いを見直す
相手を客観的に観察し、性格を理解することがコミュニケーションをうまく取るための第一歩ですが、自分自身を理解することも同じように大切です。相手を理解しながら、自分自身も理解することが、円滑にコミュニケーションを取るために必要なことです。
コミュニケーションが上手く取れない要因には、相手の性格だけではなく自分の性格に起因していることも多いからです。自分の性格は自分が1番よくわかっているという人もいるかもしれませんが、案外自分の性格を理解できていない人は多いものです。
「人の振り見て我が振り直せ」という言葉があるように、相手を見ながら自分自身も見つめ直し、自分の性格を無意識から意識的なレベルにすることができれば、コミュニケーション能力は確実に向上するでしょう。
社長になると、周りから指摘されることが少なくなると思いますが、そういう立場の人こそ、自分を客観視して理解するように努めることが非常に大切です。
コミュニケーションがうまくいかない理由
社長と社員のコミュニケーションが円滑になれば、お互いにストレスはなくなり、指示を聞かず自分勝手に仕事を進める人や愚痴ばかり言うような人が減り、職場の環境はよくなります。職場環境がよくなれば社員の士気も上がり、業績の向上にもつながります。
反対に、社長と社員がうまくコミュニケーションを取ることができなければ、気持ちはバラバラになり仕事は上手くいかず、業績悪化につながる可能性が高くなります。コミュニケーションがいかに大切かということがよくわかります。
社長と社員のコミュニケーションがうまくいかない理由としては、以下のものが考えられます。
1.社員とコミュニケーションを取る機会が少ない
2.立場や考え方の違いが理解できない
3.社員の話に耳を傾けていない
4.社員から信頼されていない
5.社員のやる気を高めることができていない
6.会社の理念や社長の思いと、社員がやりたいことが一致していない
まずは、コミュニケーションがうまくいかない理由を理解して気を付けることで、コミュニケーションの悪化防止につながります。6つの理由で思い当たるものを改善し、コミュニケーションの向上につなげましょう。
コミュニケーションを円滑にする方法
前述したコミュニケーションがうまくいかない6つの理由を踏まえて、具体的な改善方法を解説していきます。
社員とコミュニケーションを取る機会を増やす
社員と円滑にコミュニケーションを行うためには、まずコミュニケーションを取る機会を増やしましょう。社員にとってみると、社長は目上の存在なので距離を感じている場合が多くあります。気軽に話し掛けづらいと感じている社員も多くいる可能性もあります。社長自ら社員一人ひとりに声を掛けることで社長を身近な存在として認識し、好感度が上がります。これを「単純接触効果」と言います。
コミュニケーションを取るポイントとして。「名前を呼ぶ」ということがあります。相手の名前を呼ぶことで、さらに効果が上がります。
業務に追われてなかなかコミュニケーションを取る時間が取れない場合は、会社内で社員とすれ違うときなどに、「○○さん、おはよう」「○○さん、ご苦労さま」などと挨拶をするだけでもコミュニケーションの機会になります。そのときも、相手の名前を呼ぶことを忘れずに行ないましょう。
トラクターを製造するクボタでは、経営陣や役職者含むすべての社員に対し「さん」付けで呼ぶよう推奨。コニュニケーション促進に取り組まれています。
参考:クボタ、社長にも「さん」付け 意見言いやすい文化育む
立場の違いを理解する
社長と社員では、もちろん立場が違います。立場の違いを理解することも、コミュニケーションを円滑の行うための秘訣です。もちろん、立場が違うのは当然のことなので、同じ立場であると思っている人は1人もいないはずです。しかし、コミュニケーションを取っているときにも、立場の違いを意識できているかどうかということが大切です。
社長と社員は立場が違えば、当然役割も違います。仕事を通して社会にどんな貢献をするのか、そのために任された仕事や業務、任務は何かということを明確にすることで、社員自身も目的を意識して仕事ができるようになります。そして、社長と社員が同じ目標に向かって共に努力しようとする連帯感も強まります。
社員の話に興味・関心を持つ
コミュニケーションをうまく取るためには、相手に興味・関心を持つことも大切です。そのためには、まず相手をよく知ることから始めましょう。特技や長所、仕事の担当や成果、好きなこと、家族構成など、社員のことを理解すれば会話のきっかけにもなりますし、コミュニケーションが取りやすくなります。社員にとっても、社長に自分のことをしてもらえているということがわかれば喜びやモチベーションにつながります。
ただし注意しなければならないことは、中にはプライベートなことは詮索しないでほしいと思っている人もいるということです。あまり個人の事情には踏み込みすぎないように気を付けながら、うまくコミュニケーションを取るように心掛けましょう。
社員に信頼される立ち居振る舞いをする
時と場合によっては、自分のことを棚に上げても社員に伝えなければならない内容や場面もあるでしょう。しかし、あまりにも言葉と行動がかけ離れていては社員の信頼を得ることはできません。
社員に信頼されるべく、社長自らが社員の手本となるような仕事の姿勢や意欲を見せることで、社員から信頼される存在になります。そして、社員は自然と「社長のようになりたい」という憧れの気持ちや、「社長のために働きたい」という意欲を持つようになります。
社員を労い、評価する
誰でも認められれば嬉しく、さらに頑張ろうという意欲が沸き上がるものです。社員は会社のため、給料のために働くのは当たり前という気持ちではなく、日頃から社員の働きに感謝して労いの言葉を掛けたり、評価したりすることで社員のモチベーションが上がり、社長とのおい関係が築かれて、コミュニケーションも円滑になります。
コミュニケーションが円滑になれば、社員自ら社長に報告や相談をしやすくなり、風通しのよい職場になっていくはずです。
社長の考えや価値観を社員に押し付けない
企業のトップである社長は、経営者として理念や考えをしっかりと持ち、社員に伝えることで同じ目標に向かって働くことができるのは大前提です。しかし、社員一人ひとりにもそれぞれ考え方や価値観はあります。あまりにも一方的に社長の考えや価値観を押し付けるだけではなく、社員の声にも耳を傾け、ディスカッションをすることで社員とのコミュニケーションが円滑になります。
まとめ
社長と社員のコミュニケーションを円滑にするためには、まず社員一人ひとりの性格を理解すること、そして社長自らが自分自身をよく理解することが大切です。
コミュニケーションがうまくいかない理由には、以下の6つがあります。
1.社員とコミュニケーションを取る機会が少ない
2.立場や考え方の違いが理解できない
3.社員の話に耳を傾けていない
4.社員から信頼されていない
5.社員のやる気を高めることができていない
6.会社の理念や社長の思いと、社員がやりたいことが一致していない
思い当たるものがあれば、今すぐにやめましょう。
さらに、社内のコミュニケーションを円滑にする実践方法として、以下の6つがあります。
1.社員とコミュニケーションを取る機会を増やす
2.立場の違いを理解する
3.社員の話に興味・関心を持つ
4.社員に信頼される立ち居振る舞いをする
5.社員を労い、評価する
6.社長の考えや価値観を社員に押し付けない
まだ実践できていないものがあれば、早速実践してみましょう。
社内のコミュニケーションを円滑に留守ことで、社長も社員もストレスをなくし、社内一致団結をして企業としての生産性を向上し、発展を目指して進みましょう。