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経営課題の改善

中小企業社長がやってはいけないこと、言ってはいけないこと

中小企業を経営する皆さんは日々さまざまな課題と向き合い、会社の業績を上げるために、そして社員の生活を守るために奮闘されていることと思います。
この記事では中小企業の社長として「やってはいけないこと」「言ってはいけないこと」にスポットを当てて、具体的に解説します。

社長がやってはいけないこと

偉そうにふるまい、高圧的な態度を取る

社長は会社のトップです。トップとして会社の舵取りを行い、社員を引っ張っていく立場であるために威厳は大切です。しかし、偉そうにふるまい、社員に対して高圧的な態度を取り、理不尽な言動を繰り返すようでは、社員はついてきません。社長が社員に嫌われ、社員が社長の顔色を窺ったりするような会社は、よい会社とは言えません。

社員に好かれるために気を遣ったり媚びを売ったりする必要はありません。日頃の自然な姿が社員に好かれ、信頼や尊敬をされるような社長像を目指すことが大切なのです。つまり、人間性を磨くことです。中には人間的にも優れ、仕事ができる立派な社長もいます。しかし、そんな社長ほど謙虚で腰が低いものです。人の上に立つと、とかく勘違いしがちですが、社長も社員と同じ人間です。

社員の生活を守る責任感から仕事に熱くなりすぎて、自分の思うように仕事が進まないとつい大きな声を出したり、命令口調になったりすることもあるかもしれません。しかし、仕事に熱意があれば何をしてもよいわけではありません。まずは日頃の自分の態度を振り返り、改めるべきところがあれば改善していきましょう。

社員の話を聞かない

会社の規模にもよりますが、社長ともなれば社員一人ひとりの声に耳を傾けることは容易ではないでしょう。しかし、社員の話に耳を傾ける努力や工夫をしていますか?

社員が社長に話をするときは、緊張している場合が多いでしょう。緊張しながらも、一生懸命に自分の気持ちを伝えようと必死になっているかもしれません。しかし、社長が社員の話の途中で話を遮って否定したり、社長の意見を述べたりしてしまえば、社員の話はそこで終わり、二度と意見を言おうとする気にならない可能性があります。

社員の話は社長にとっては的外れかもしれません。次の仕事が控えていて時間がないため、結論を急ぎたい場合もあるでしょう。しかし、会社のために一生懸命意見を述べている社員の気持ちを思いやり、最後まで聞く傾聴の姿勢を持ち、たとえ的外れな意見だったとしても「話してくれてありがとう」と感謝したり、「なるほど、そんな考えを持っているんだね」と共感したりすることで社員は喜び、さらに頑張ろうと思うでしょう。

また、問題点があったとしたら話を聞くだけではなく、「どうしたらよいと思う?」などと社員自身の考えを聞きましょう。意見を聞くことで、一人ひとりが人任せではなく、解決策や改善策を考える力が身につきます。もしかしたら、社長一人では思いつかなかったような意見が出てくるかもしれません。

社員の話に耳を傾けるためには、日頃から一人ひとりの社員に対し、目を見て挨拶をすることを心掛けることが大切です。社長のその姿勢は社員の心を動かし、社員は社長を信頼し、社長のようになりたいと思うことでしょう。

感情的に怒る

パワーハラスメントが問題となって久しいので、社員を頭ごなしに怒るような社長は少なくなったとは思いますが、残念ながら今でもそのような社長や上司はいます。前述した「偉そうにふるまい、高圧的な態度を取る」の項目にも通じることですが、社員は社長にとっては部下でも同じ人間です。完璧な社員はいないように、完璧な社長もいません。

社員が全員、社長が思うように動けばよいですが、残念ながらそんなことはまずあり得ないでしょう。社員がミスをしてしまうこともあるはずです。そんなときに社長が感情的に怒れば、問題は解決するでしょうか? むしろ逆効果です。

社長が感情的に社員を怒ってしまえば、社員は委縮してしまい、よい仕事はできません。ミスを恐れて、のびのびと仕事をすることができなくなります。それどころか、社長の顔色を窺い、社長に怒られないように仕事をするようになってしまいます。

つまり、本来であれば顧客や取引先ファーストで、顧客や取引先のニーズに応えるためにやる仕事も、社長ファーストの仕事になってしまいかねません。顧客や取引先の目線に立ち、気持ちに寄り添った判断ができず、判断の基準が社長に怒られないかどうかということになってしまいます。これでは、顧客や取引先に喜ばれる仕事はできません。

そして、社長に怒られないようにということが常態化してしまうと、ミスやマイナスがあったときに社長への報告をためらってしまうでしょう。小さなミスが、報告を怠ったばかりに大きな問題に発展することはよくあることです。風通しがよく、顧客や取引先の目線に立った会社作りのためにも、感情的に怒ることは絶対にやめましょう。

社員に感謝しない

社員は給料をもらうために働きます。社長は社員に給料を与える立場なので、「社員は会社のために働くのが当たり前」という思考に陥りがちです。しかし、社員の働きがなければ、そもそも会社や会社の業務は成り立ちません。そう思えば、社員の存在がどれだけ大切かということが分かります。

そして、その感謝の気持ちは言葉や態度に示さなければ伝わりません。社員が働くのを当たり前だと思わず、会社のために働いてくれてありがとうという感謝の気持ちを忘れず、「ありがとう」「助かるよ」などと言葉にして伝えましょう。「ありがとう」と言われて嬉しくない人はいないはずです。

日頃から社長が社員に対して「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えれば、自ずと会社全体にその雰囲気が伝わり、社員同士でも「ありがとう」「お疲れさま」と感謝や労いの言葉が飛び交う素敵な職場になることでしょう。

社員をイエスマンにする

会社を船に例えると、社長は船長で社員は船員です。船長の言うことを聞かずに船員が勝手なことばかりしていては、船は沈没してしまいます。社員一人ひとり考え方は違っても、社長の方針に従って仕事をすることは、会社では当たり前のことです。

しかし、社長も完璧ではありません。ときには判断を誤ることもあるかもしれません。そんなときに、社員が誰一人社長に意見を言えない、社長が何を言っても賛成するような会社は危険です。社長はそれで気分がよいでしょう。社員みんなが反発するような会社ももちろんよくありませんが、イエスマンばかりの会社は危険です。

イエスマンばかりを求め、それで気分をよくしている社長はもっと危険です。社長自ら社員に意見を求め、会社全体で理解や納得をしてからことを進めていく会社こそが、健全な会社と言えるのではないでしょうか。

社員と仲良くなりすぎる

社員に感謝し、高圧的な態度を慎むことが大切だとお話ししましたが、あまりにも社長と社員の距離が近すぎることも、あまりよいことではありません。社長と社員は友達ではありませんし、立場が違います。関係性に一線を引き、適度な距離感を保つことが必要です。

そのうえで、最近はコロナ禍で難しいでしょうが、たとえば飲み会や社員旅行など社員と交流する場所や機会があったときには社員と仲良く無礼講で楽しみ、仕事ではケジメをきちんとつけましょう。メリハリが大切です。

社長が言ってはいけないこと

次は、社長として言ってはならないことについて解説します。言葉は人を表しますので、社長の言葉は会社を表すと言い換えてもよいかもしれません。発してはいけない言葉や言い方にぜひ気をつけてください。

ネガティブな発言をする

中小企業を経営していれば、日々問題や課題が目の前に立ちはだかり、大変なことは容易に想像がつきます。つい、「大変だ」「疲れた」「しんどい」などネガティブな感情になり、言葉に出てしまいそうになると思います。しかし、そんな社長のネガティブな言葉を聞いた社員や会社の雰囲気はどうなるでしょうか。

大変なときこそ前向きに社員を励まし、「大変だけど、一緒に頑張ろう」と勇気づけてくれる社長こそ、社員が信頼しついていきたいと思うのではないでしょうか。

とは言え、社長も人間です。弱音を吐きたいこともあるでしょう。ネガティブな感情を抑え込み、無理に前向きに頑張ってばかりでは社長自身が壊れてしまいます。信頼できる直近の部下や家族など、愚痴を吐き出せる相手には愚痴を聞いてもらいながら、自分自身のメンタルを守ってください。

大変な状況に陥ったとき、社員とネガティブな感情を共有することもときには必要かもしれません。社員は社長を身近に感じるかもしれません。しかし、そんなときもネガティブで終わらず、必ず最後には「よし、頑張ろう」とみんなでまた前向きに頑張れる雰囲気に持っていくことが大切です。

悪口や陰口を言う

人の悪口や陰口を言う人は、社長以前に人として信用されません。悪口や陰口を言って盛り上がってしまった経験がある人は多いと思いますが、けっして気持ちのよいことではなかったはずです。まして、社長がその場にいない人の悪口や陰口を言ってばかりいたら、「自分もいない場所では同じように言われているんだろうか」と社員は疑心暗鬼になってしまいます。

たとえば失敗してしまったときに、表向きは「大丈夫だよ。気にしないで」と声を掛け、あとから陰で辛辣に言っている社長と、その場で厳しいことを言っても、その後はさっぱり何事もなかったように引きずらない社長だったらどちらがよいですか?

「自分がされて嫌なことはしない」。小学生が習うような基本的なことですが、「自分がされて嬉しいと思うことをする」ということを常に念頭に置きましょう。

意味不明な発言をする

社長は社員に指示を出したり、訓示を述べたりする機会があると思います。せっかくよいことや大切な内容を話していても、社員に伝わらなければ意味がありません。わかりやすい言葉で、心に響くような伝え方を心掛けましょう。

忙しいから、あるいはこれぐらいわかるだろうと主語なく指示を出したり、曖昧な言葉や早口で伝えたりしていては、社員はしっかりと指示を理解できません。逆に、言葉多くくどくどと訓示を話しては、大事な要点が伝わりにくくなってしまいます。

社長の伝え方に問題があるのに、理解できない社員のせいにして「どうして言ってることが分からない!」「何度言えばわかるんだ!」などと叱責するような社長は問題外です。ただの傲慢でしかありません。何事も人のせいにするのではなく、自分を振り返ることができる社長こそ、信頼される社長です。

「頑張れ」を言いすぎる

ネガティブな発言を慎み、社員を励ますことが大切だと述べましたが、あまりに「頑張れ」という言葉を社員に言いすぎると、社員はプレッシャーになって疲れてしまいます。社員は十人十色ですが、一人ひとり自分の立場で、日々十分に頑張っているはずです。

すでに頑張っている社員が、会社のトップである社長にさらに「頑張れ」と言われたら、「今でも精いっぱい頑張っているのに、これ以上どう頑張ればいいのだろう?」と感じ、仕事がつらくなってしまいます。励ましの言葉として有効な「頑張れ」の言葉を過度に使うと、場面や人によってはプレッシャーになってしまうということを認識しましょう。

まとめ

社長がやってはいけないこと、言ってはいけないことを解説しました。思い当たる節はあったでしょうか?

企業のトップである社長だからと言って、社員に対して高圧的な態度を取ったり、社員の働きを当たり前だと思ったりせずに、感謝を忘れず、社員の話に耳を傾ける姿勢が大切です。そして、社員に過度なプレッシャーを与えず、励ますことも必要です。

一見すると矛盾を感じるような内容もあったかもしれません。要はケジメが大切だということです。要は、社長と社員がそれぞれの立場で、お互いにリスペクトし合えるような関係性を築くことができれば、そのよい関係性は顧客や取引先に伝わります。そして社内のよい関係性は会社の生産性につながり、業績の向上にも結び付くでしょう。

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